肩こりと「脇の下のコリ」―鍼灸指圧からみる肩こり解消のヒント
中年以降に多い肩こりの悩み
中年以降になると「なんとなく肩が重い」「首が凝る」といった症状を自覚する方が増えてきます。肩こりは精神的な緊張や肉体疲労など、さまざまな要因によって引き起こされます。
肩こりを初めて経験する人は「凝った」とは言わず、「痛い」と表現することが多いのも特徴的です。時間が経つにつれ「凝っている」と感じるようになります。
いずれにしても、慢性的な肩こりは鍼や指圧によって軽快するケースが多くあります。
肩こりのタイプ
肩こりは大きく分けて3つのタイプに分類できます。
- 後頭部がこるタイプ
- 肩の上がこるタイプ
- 肩甲間部(膏肓付近)がこるタイプ
さらに、これらが複合して現れることも少なくありません。
鍼と指圧によるアプローチ
施術では、まず「コリの中心=硬結」を丁寧に探し出し、鍼や指圧でアプローチしていきます。長く存在するコリほど感覚が鈍く、鍼をしても「痛くも痒くもない」と感じられることがあります。そうした場合も、じっくり時間をかけてコリをほぐすことで改善が期待できます。
肩全体に響くツボをとらえられると「気持ちいい」と感じる方が多いです。
見落とされがちな「脇の下のコリ」
首こりに伴って現れることがあるのが「脇の下のコリ」です。脇が凝ると肩関節の動きが制限され、腕が上がりにくくなることがあります。
脇の下に関わる主な筋肉は以下の通りです。
- 肩甲下筋
- 前鋸筋
- 大円筋
- 小円筋
- 広背筋
- 上腕三頭筋
特に広背筋や上腕三頭筋が硬くなると、腕を上げるときに「ロック」がかかったように動きが制限されます。
肩甲骨と関連筋のネットワーク
肩甲骨は「肩甲胸郭関節」と呼ばれる仮関節の構造をもち、その動きには肩甲下筋など多くの筋肉が関わっています。
施術では、単に一つの筋肉をほぐすのではなく、関連する筋肉のネットワーク=経絡的なつながりを観察します。首のコリが脇へと広がり、全体の動きに影響することも少なくありません。
施術と効果
当院では、以下のような施術を組み合わせて行います。
- 顎関節から首への鍼灸・指圧アプローチ
- 肩甲骨まわりの動きを回復させる調整
- 広背筋・腰部から首への連動を整える施術
こうした施術により、回らなかった首がスムーズに動いたり、痛みで上がらなかった腕が挙がるようになったりすることがあります。
特に「四十肩・五十肩」と呼ばれる症状では、脇の下へのアプローチが有効な場合があります。
脇の下へのアプローチ
- 肩こりは首・肩・肩甲骨だけでなく「脇の下」に隠れていることもある
- 首こりが長引くと脇の下のコリにつながるケースが多い
- 鍼灸・指圧で関連する筋肉ネットワークを整えると症状が改善しやすい
頑固な肩こり・脇の下のコリはセルフケアではなかなか解消できません。慢性的な肩こりでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。